COLUMN
マネヲタ堤のコラム

フリーランスになって最初に知るべき税金の話

2025/09/18

フリーランスになって最初に知るべき税金の話

会社員を辞めてフリーランスとして働き始めたとき、収入の全部が「売上」ではないことにまず気づきました。
僕のように、スキルで仕事をする人間にとって、税金や申告は避けて通れない道です。
だからこそ、最初に「何を」「いつ」「どう」準備すればいいかを押さえることが、その後の余裕と収入に大きな差をもたらします。
この記事では、僕の経験と、最新の制度・データを交えて、フリーランスとして最初に理解すべき税金・確定申告の基礎を深掘りします。

会社員とフリーランスの税制の根本的な違い

会社員のときは源泉徴収・年末調整で税金が給与から自動的に差し引かれ、余計な手間はほぼありませんでした。
だけどフリーランスになると、自分で売上を計上し、経費を整理し、所得税・住民税・事業税・消費税などを自分で申告・納税する義務が発生します。
この“全部自分でやる”負荷は最初は大きく感じるのですが、制度を理解して準備すればむしろ節税のチャンスにもなります。

青色申告を選ぶ理由とそのメリット

僕が確定申告をする際、白色申告ではなく青色申告を選んだのは、多くの節税メリットがあったからです。
「青色申告特別控除」「赤字の繰越し」「家族給与」「貸倒引当金」「減価償却の特例」など、制度の恩恵を最大限に活かせる仕組みが揃っています。
freee や弥生、Seraku などの会計サービスでも「フリーランスは青色申告がおすすめ」という記事が多く、実際に税負担が大きく変わるというデータも示されています。

青色申告特別控除で所得が最大65万円軽くなる

特に強力なのが青色申告特別控除です。
要件を満たせば最大で65万円の控除を受けられます。
控除額が65万円になる条件は複式簿記で帳簿を付けること、決算書を含む所定書類を確定申告書に添付すること、e-Tax又は電子帳簿保存の要件を満たすことなどです。
僕の場合、この控除だけで税金のベースがぐっと下がり、所得税・住民税で毎年数万円~十数万円単位で節税できるようになりました。

赤字の繰越し・貸倒引当金・家族給与などの活用

事業開始当初は赤字になる年もあります。
青色申告なら、その赤字を最大で3年間繰り越せるため、その後黒字が出たときに税負担を軽くできます。
また、取引先から回収できない売掛金があるなら貸倒引当金として費用計上できることもあります。
さらに、配偶者や家族を「事業専従者」として給与を払えば、その給与を経費にできるケースがあります。正しい届け出をすれば、家族労働も事業の支えになります。

消費税・インボイス制度:2023年以降の変化と対応

2023年10月からインボイス制度(適格請求書保存方式)が始まり、フリーランスにとっては大きな制度変更でした。
売上が1,000万円を超えると課税事業者となり、消費税を納める義務が生じるだけでなく、取引先から適格請求書を要求される場面が増えています。

免税事業者 vs 課税事業者の判断基準

僕もこれで悩みました。
売上が1,000万円未満の場合は免税事業者で消費税納税義務はありません。
ただし、取引先が「適格請求書」を求める場合、免税事業者では発行できないため、取引に影響が出ることがあります。
さらに、免税事業者でい続けるか課税事業者になるかは、2割特例・簡易課税制度を含めて総コストを比較するべきです。

インボイス制度導入後のリアルな影響と対策

実際に、インボイス制度が始まってから「取引先から適格請求書を発行できない業者とは取引しにくくなった」「消費税負担・事務コストが増えた」という声が多いです。
僕も請求書発行や帳簿のフォーマットを整え、会計ソフトやツールを見直しました。
また、小規模・新規事業者向けの簡易な会計ソフトや確定申告支援サービスを使って、コストとミスのリスクを減らすようにしています。

確定申告の実践ステップと僕の失敗談

制度や制度の条件を知るだけでは足りません。
大切なのは「実際に手を動かすこと」です。
僕も最初は帳簿の整理を後回しにして、領収書を溜めこんで痛い目を見ました。
ここで、僕が確定申告をスムーズにするためにやっているステップをお伝えします。

ステップ1:帳簿のつけ始めを早めにする

売上が発生したらその日に記録する。
スマホのアプリでもいいし、クラウド会計ソフトを使うのもおすすめです。
日々のレシート・請求書・支払いを分類しておくことで、月次でどれぐらい利益が出ているか把握できます。

ステップ2:税務署への開業・青色申告届出をセットで出す

開業届と青色申告承認申請書はできれば同時に提出します。
そうすることで、その年から青色申告の恩恵を受け始めることができます。
提出期限を過ぎてしまうと次の年からしか効果が出ないので注意。

ステップ3:利益予測と税額シミュレーションをする

見込み売上と見込み経費を年間でざっと書き出して、「所得」「所得税」「消費税」「住民税」などをシミュレーションします。
この段階で65万円控除が取れるか、免税事業者でいる方が有利かなどの判断もできます。

ステップ4:税理士や専門家を活用するタイミングを見極める

最初は自分でもできることが多いですが、売上が大きくなってきたり、取引先が増えて複雑になるタイミングで税理士に相談するのはコスパが高いです。
僕も2年目くらいにそれを経験して、「これ以上ミスを減らせない」「節税可能性を逃している」と感じて顧問をつけました。

まとめ:税を“敵”にしない「仕組みと意識」

制度や数字に疎いと、税金は恐怖の対象になってしまいます。
でも、知識を持ち、日常に記録を残し、制度を活かすステップを踏めば、税金はむしろ味方になります。
僕が経験から学んだポイントは以下の通りです。
・青色申告を活用して控除・繰越しのメリットを取ること。
・インボイス制度を無視せず、取引先との関係や帳簿体制を整えること。
・帳簿は日々付け、ルールとツールを決めること。
・税理士など専門家を頼るのは売上が増えて整理が追いつかなくなった段階で十分。

税金はコストだけど、「どう扱うか」で収入を大きく左右する資産にもなります。
フリーランスの皆さん、恐れずに制度を学び、仕組みを整えて、所得を最大化していきましょう。